iPhone11のカメラ性能を徹底検証

 

■iPhone11を手にして

2019年9月10日に発表された、iPhone11。

私はその9ヶ月後の2020年6月に手にしました。

もうすでに iPhone11 に関するレビュー記事や、その機能に関するものは多数出ていますが、今回の記事では、初めて私が iPhone11 のカメラを本格的に検証した結果を記事に残したいと思います。

 

AppleiPhoneに託す写真画質のこだわり

iPhoneを長くお使いの方はご存知かと思いますが、iPhoneは「6」までアウトカメラの有効画素数が800万画素でした。

その後に登場した「6s」から1200万画素になり、現在最新のiPhone11シリーズでも、1200万画素を踏襲しています。

他のメーカーが、赤ちゃんの小指の爪の大きさにも満たない小さなセンサーに、無理矢理に詰め込んだ2000万画素や、3000万画素の写真画質を競い合う中でも、かたくなに1200万画素以内を堅持してきたAppleの姿勢は、素晴らしいと思います。

 

一般的に、写真の画質=画素数によって左右される。という大きな誤解が当たり前のように定着してきた流れの中で、Appleはその流れに逆行するかのように、旗艦製品である「iPhone」に対して、写真とカメラと画素数いう難しい部分に真摯に向き合ってきた稀な企業であると、私は評価しています。

 

実際にその流れは iPhoneXs から搭載され、11、11proへも受け継がれてきました。

 

■iPhone11のカメラ性能を徹底検証~その1

さて、では実際に、「iPhone11」のカメラ性能はどうなのか?

 

手にした私が、地元の宝である世界文化遺産「姫路城」に赴き、検証してきました。

 

以下に載せる撮影写真は完全なる “撮って出し” です。

 

私が撮影データをPhotoshopで加工や修正は一切しておりません。

 

◆ナイトモードの実力と問題点

 

まず、ナイトモードとは、なんぞや? という方に説明をしますと、陽が沈み夜になるとiPhoneが自動的に明るさを判断して切り替える撮影モードのことです。

 

この「ナイトモード」は、ユーザーが任意で使う、使わないを選択できません。

 

つまり、夜になって暗くなると、自動的に「ナイトモード」へ移行します。

 

このナイトモードというのは、簡単に言えば、夜景を撮影する時に、メインとなる被写体を含めて、とにかく明るく写真に残す!という機能です。

 

 

では実際にどういう写真になるのか、見ていきましょう。

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↑ これは、iPhone11で、「ナイトモード」をON状態で撮影した姫路城です。

 

一見すると、綺麗な写真に見えますが、そもそもお城のライトアップを撮りたいシーンにもかかわらず、関係のない周辺までもが明るく写っています。

 

iPhone11では、夜間に普通に被写体に向けてカメラを向けると、こういう写真しか撮れません。

 

■ナイトモードを一時的にOFFにできる裏技

これは私も現場で使っていてはじめて知ったんですが、日没後に、空が完全に暗くなった時に、シャッターボタンを押す前に、被写体(今回の場合は姫路城の天守閣)の部分を指でタップすると、その時だけ一時的に「ナイトモード」がOFFになるんです。

 

つまり、iPhone11のカメラアプリが、本来であれば自動的な判断で撮影する前に、このシーンの適正露出はここですよ!とユーザーが指で指示することで、ナイトモードが解除されます。

 

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↑ これが、撮影前に天守閣の部分を指でタップして露出をロックした状態で撮影したものです。

 

 

「ナイトモードON」の写真と比べて頂くとわかりやすいと思いますが、皆さんは、どちらが写真らしいと思いますか??

 

と、その前に

「写真」って.....なんだと思いますか?

 

様々な意見があるかとは思いますが、私は「写真」というものは、その被写体に対してカメラマンが眼で見たままの「真実」を焼き付けるという世界であるのだと思うんです。

 

iPhone11の「ナイトモード」は、人工知能によって、こうあってほしい、こう見えていてほしい、という幻想の世界観を無理矢理に演出しているようにしか思えませんでした。

 

■ナイトモードの弱点(人工知能の弱点)

これからお話する部分は、非常にマニアックな領域ですが、大事なことなので書きたいと思います。

 

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↑ この写真は「ナイトモードON」で撮影した姫路城の天守閣を、Photoshopで50%まで拡大した状態です。

 

見て頂くとわかるように、天守閣の部分が「白つぶれ」しています。

 

これは、「ナイトモード」が自動的に露出を判断し、天守閣とその周囲の空や光源から「適正露出」を導き出すために犠牲になった結果です。

 

 

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↑ 対してこちらは、撮影前に天守閣部分を指でタップして「ナイトモード」を一時的にOFFにした状態で撮影した天守閣です。(50%拡大)

 

まったく同じ時間に、まったく同じ位置から撮影した写真ですが、天守閣の窓の微妙なディテールが失われず、正確に写っているのがわかると思います。

 

 

 

■総評、iPhone11のカメラ

そもそも、スマホのカメラに大きなことを期待するのは無理があります。

ニコンキヤノンといった日本のカメラ専門メーカーが世界で席巻する中で、たかだか10年ほどの歴史しか持たないモバイル端末のカメラが、それを凌駕する、もしくは脅かす....なんてことは、ありえない話です。

 

それでも私は、Appleは頑張っていると思います。

 

 

 

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↑ iPhone11で撮影した超広角 (姫路城・三の丸広場)

 

 

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↑ iPhone11で撮影した姫路城と三の丸広場の道路(超広角)